弁護士として独立したら弁護士業務だけをしていれば良いだけではなく、事務・採用・顧客獲得など全てをこなす必要があります。開業初期は付随業務を担うスタッフを全て揃えた状態で開始できる人はそう多くはないでしょう。また、弁護士業務以外の経験がない状態で独立することもあります。
特に顧客獲得ができるかどうか不安を抱えて独立することが多いようです。独立後も顧客獲得が思うようにいかず、手当たり次第にできることに手を出したり、営業された集客手法に乗ったりしながら苦悩している方が多いようです。
この記事では「弁護士集客サポーター」を運営する森下(@morishita_web)がWEB集客全般に関する知識をお伝えしています。
この記事を読むことで、法律事務所向けの王道WEB集客の全体像を把握することができます。
法律事務所向けWEB集客の全体像
1.~3.は一人事務所でも必ずやっておくべきWEB集客施策です。4.は自社の強みや業務内容から競合他社の状況を考慮した上でWEB集客施策として最適な施策を選択していきます。
5.は、1.~4.のWEB集客施策を続けて「地域で1番を取れた後」または「地域で1番を取れなかった後」に、別ドメインで1.~4.をもう一度再現しましょう。
5.の具体例は「事務所の総合的なHP」の後に「業務特化型HP」を作成する等にあたります。
離れ業で「6.弁護士向けポータルサイトを自前で作る」がありますが、多くの法律事務所はそこまでやる必要が無いのでこの記事では割愛します。
ポータルサイト広告
忌み嫌われがちなポータルサイトですが、WEB集客施策の中では最も優先して進めていく必要があります。ポータルサイト広告は最もリスク・リターンの釣り合ったWEB集客施策です。
有料ポータルサイトは予算に応じて、無料で使えるポータルサイトは必ず使うようにしていきましょう。
以下は定番ポータルサイトです。
- 弁護士ドットコム
- ココナラ法律相談
- ベンナビシリーズ
- リーガラス
- あなたのみかた
ベンナビシリーズ以外は無料登録から始めることができます。有料ポータルサイトは予算と地域・業務内容から精査して出稿先を選定する必要があります。詳しくは「弁護士・法律事務所向けポータルサイトの選び方ガイド」をご覧ください。
HP(LP)作成
HPまたはLP(1枚ページで問い合わせに適したHP)は必ず作成しておくべきです。
HP(LP)に必要な要件は以下の通りです。
- 主な業務内容(掲載必須)
- 連絡先(掲載必須)
- 代表弁護士の写真(掲載が望ましい)
- 代表挨拶や事務所紹介(掲載が望ましい)
「HP(LP)に必要な要件はポータルサイトを使っていれば、記載されているので改めてHP(LP)を作る必要があるのか?」という疑問が出てくるかと思いますが、HP(LP)とポータルサイトは役割が違います。
- HP(LP)=特定法律事務所の情報を集約した媒体
- ポータルサイト=複数の法律事務所から特定の法律事務所を選ぶ媒体
HP(LP)とポータルサイトの違いを理解してHPには役割に応じた機能を持たせることが大切です。詳しくは「法律事務所の検索クエリから考えるHPの重要性」をご覧ください。
MEO対策
法律事務所のWEB集客施策で外せないのがMEO対策、地図対策です。検索エンジンは毎年アップデートを繰り返しています。傾向としてローカル検索最適化に向かっています。
ローカル検索とは
GPSの情報取得や「地域+法律事務所」等により地域毎に最適化した検索結果を表示させること。
ローカル検索重視は検索エンジンアップデートの傾向として続くものだと推測しています。法律事務所のWEB集客としてあまり難しいことは考える必要はありませんので、以下の二つを正しく設定しておきましょう。
- Googleマップ
- Yahoo!マップ
Yahoo!マップの設定は無視されがちですが、必ずやっておきましょう。
1.ポータルサイト広告、2.HP(LP)作成と順序通りに進めていくとMEO対策(地図検索での上位表示)が自然とできるようになっています。必ず1.2.3.と順序通りに進めてください。
MEO対策についてもっと詳しく知りたい方は「弁護士・法律事務所のMEO対策・地図対策のやり方」をご覧ください。
自社と競合の状態で選択
1.~3.まではどんな規模の法律事務所でも行うべきWEB集客施策ですが、4.以降は事務所の経営資源(資金・知識経験・事務所のリソース)と競合事務所との兼ね合いで最適な施策を選択する必要があります。
4-1.SEO対策
4-2.運用広告
4-3.SNS運用
それぞれのWEB集客施策にはメリット・デメリットがあります。弁護士からWEBマーケターになるというキャリアを目指さないのであれば、経営資源の中で資金⇒知識経験⇒リソースの順番で消費していくのが良いでしょう。
SEO対策
SEO対策は検索結果で上位表示させてアクセスを集めるWEB集客施策です。SEO対策には、コンテンツ制作や被リンク施策などがあります。
メリット
- 長期的に見て費用対効果が高い
- 検索上位に上がればブランディング効果がある
デメリット
- 結果が出るまで時間がかかる
- 検索エンジンアップデートの悪影響を受ける可能性がある
運用広告
運用広告は、Google広告やYahoo!広告などに課金して、アクセスを集めるWEB集客施策です。
メリット
- 結果が出るまでが早い
- ターゲットを絞ることができる
デメリット
- 競合が強いと広告費が高くなる
- コンテンツが積み上がらない
SNS運用
SNS運用はX、YouTube、Instagramなどを運用してアクセスを集めるWEB集客施策です。
メリット
- 手軽に始めることができる
- 結果が出るまで比較的早い
デメリット
- リソースが多く取られる
- ある程度のセンスが必要となる
- 取扱業務によって向き不向きがある
別ドメインを追加
1.~4.のWEB集客施策を続けて「地域で1番を取れた後」または「地域で1番を取れなかった後」に、別ドメインで1.~4.をもう一度再現しましょう。
5.の具体例は「事務所の総合的なHP」の後に「業務特化型HP」を作成する等にあたります。
別ドメインの追加は経営資源が更に必要となるので、慎重な意思決定が必要となります。「地域で1番を取れるまで」メインドメインをてこ入れを優先する方が良い場合が多いです。
「地域で1番を取れると想定していたのに、できなかった」場合は、正確に自社と競合の分析ができていないケースが多いです。この場合は再現性に重大な懸念があることを自覚しましょう。
まとめ
WEB集客施策を5つに分けて紹介しました。
WEB集客をする場合、1.~3.までは必ず取り組むようにしましょう。集客は充分できているという場合でも、競合事務所がどのようなWEB集客施策を取っているかを把握するために簡単にでも各種WEB集客施策を把握しておきましょう。